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名無し

Author:名無し
今年の戦隊シリーズ最新作「ゴーオンジャー」が結構面白い。
そこで思い立って戦隊シリーズの歴史を自分勝手に脳内補完してまとめてみようかと思う。かなり勝手な思い込みが多いのはご了承のほどを。

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15.鳥人戦隊ジェットマン
15.鳥人戦隊ジェットマン(1991)
1991/2/15~1992/2/14 金曜日17:30~17:55




作品の特徴
前作ファイブマンの視聴率低迷と玩具売り上げ不振を受けてシリーズは存続の瀬戸際に立つことになり、本作で失敗すればシリーズは打ち切りとなる予定であった。そこで番組制作側としてはやれることは何でもやるという意気込みで望んだ。

本作で成し遂げるべきことは、とにかくシリーズ打ち切りを阻止するために視聴率を上昇させることと玩具の売り上げを回復させることであった。視聴率に関しては前作ファイブマンの後半の経験を踏まえて、裏番組の「らんま1/2熱闘編」とまともに低年齢層視聴者を取り合うのは避けて、とりあえずは高年齢層向けの作品を提供すれば良いと分かっていた。もちろん本シリーズが基本的には低年齢層向けシリーズである以上、それでは根本的解決にならないことは分かっていたが、まだ「らんま1/2熱闘編」と戦って勝てるだけの準備が出来ていないのが現状で、そういう状態で「負けたら打ち切り」と期限を切られてしまえば、まずは高年齢層向けでも何でも、とにかく視聴率を稼いでシリーズの延命を図って、そうして稼いだ時間を使って「らんま1/2熱闘編」に勝てるような新路線を構築していくという順序で物事を進めていくしかないのだ。

そこで本作では、戦隊シリーズの第二期において積み上げてきた高年齢層相手に視聴率の取れるパターンを総動員しつつ、更にそれを面白くする工夫を施すことにして、その上で更にプラスアルファ的要素も加えて更なる高年齢層の視聴者をも掘り起こす工夫も加えることにした。

まず、作品の基本的な構成は、戦隊シリーズの過去作品の中で最も王道的な成功作品であったチェンジマンの世界観をなぞることにした。チェンジマンは「アースフォースの光を浴びてヒーローになることになった未熟なヒーロー達のドタバタ成長物語」と「宇宙規模の巨大なエイリアン組織による地球侵略とその壮大な内部抗争と崩壊の大河ストーリー」という2つの要素が柱となっていたが、本作においてもそれらのモチーフを流用しつつ、それらをもっと極端化させる工夫を加えた。

まずチェンジマンにおいてはアースフォースを浴びてヒーローになる羽目になったのは未熟者ではあったがそれでも軍人であったのだが、本作においてはバードニックウェーブを浴びて変身能力を持つことになったのはリーダーのレッドを除いた4人は戦闘経験どころか武術の経験もほとんど無い全くの民間人で、それも全く偶発的事故でバードニックウェーブを浴びる羽目になったのであるから、そもそも使命感や責任感、プロ意識というものを持たない寄せ集め集団ということになる。そういう彼らがヒーローとして成長していく過程は、チェンジマンの時よりも数倍ドタバタ度を増すことになる。



またリーダーのレッドのみが軍人で、人類の危機という緊急事態においても勝手なことばかり言う民間人4人組を何とかまとめて戦っていこうとするのだが、その大真面目なレッドと他の4人とのギャップが結構笑える要素になっている。しかもこのレッドはとりあえず唯一の軍人なので仕方なくリーダーを務めているが、その個人的能力自体は高いものの、本来はリーダーとしての資質が卓越して高いというわけではなく、更に周囲が問題児揃いのためにさんざん足を引っ張られ、根が真面目で良い人だけに他の4人に振り回され、いつも動揺し、思い悩む羽目になる。

そうしたレッドがリーダーとして成長していく姿や、そういう少し頼りないリーダーを、またそれ以上に頼りない他の4人が信頼したり支えたりして、次第に5人がチームとしてまとまっていく成長物語は、チェンジマンの時のスポ根的な成長物語とはまた少し違った面白みがあるといえる。




つまりそれだけこの5人は濃密な人間関係を結ぶことになるのだが、そうなると若い男女の場合、そこに恋愛感情が芽生えたりするのが自然なのだが、戦隊シリーズ、いやヒーローもののテレビドラマ全般において、ヒーローのチーム内での恋愛沙汰を描くのはタブーとされていた。それは子供向け作品であるという事情にもよるものであったが、それ以前にヒーローの頭の中は正義のために戦う使命感でいっぱいで、恋愛感情など持たないものだという思想があったからだ。

まぁ戦隊シリーズの場合は割とユルい設定であったので、実際はメンバーが色恋沙汰と無縁ということはなく、歴代の黄や青などのメンバーはよく女性にフラれる描写が挿入されたり、赤に関してはマスクマンのように劇的な悲恋を抱えていたりしたこともあるが、それでもチーム内恋愛はタブーとされてきた。それはチーム内恋愛がチーム内の和を破壊する行為であり、メンバーは戦士としてのプロ意識を持っているからそういうことはあえてやらないという暗黙の設定があったのであった。

しかし、このジェットマンの5人、いやレッドを除く4人はそもそも使命感やプロ意識と無縁なのであり、ある日突然に空から降ってきたバードニックウェーブを浴びてしまったために敵と戦うのは仕方ないとしても、その上、恋愛も禁止だなどという禁欲的生活を強いられることには我慢がならないのであり、「好きなものを好きと言って何が悪い?」という想いを抱いているのだ。

そういうわけで、このジェットマンにおいては戦隊メンバー間の恋愛関係が描かれることになり、「戦うトレンディ・ドラマ」などと評されることになるのだが、これは視聴率目当てに当時流行りのトレンディドラマの真似をしたなどという皮相的なものではなく、確かに視聴率を上げるためではあったのだが、それはメンバーの内面描写をより深みのあるものにして高年齢層を惹きつけるための工夫の一環であったのだ。



言わば、レッド以外の他の4人は手違いで地上に降ってきたバードニックウェーブを浴びせられた被害者なのであり、そのために戦士として戦う羽目になり、その上、「チーム内恋愛は禁止だ」とか「戦士は冷徹であらねばならない」などとしたり顔で説教ばかりされれば、「ふざけんな!俺たちは機械じゃない。生身の人間だ!」と怒りたくなるのも当然なのである。

そう、戦隊メンバーはライダーやキカイダーなどとは違う生身の人間なのであり、生身の人間であれば恋愛もするのは当然なのだ。しかし戦士であることも事実であり、戦士は冷徹でなければいけないのも事実である。そうした戦隊ヒーローの「人間でありながら戦士である」ことによる葛藤が、本作においては「俺達は生身の人間だ」と主張するブラックやホワイトたちと、「戦士は冷徹でないといけない」と主張するレッドとの対立の形で現れるのであり、そうした戦士の葛藤を見せるための伏線としてメンバー間の恋愛関係は描かれているのである。これは戦隊シリーズ全体を貫く大きなテーマの提示なのであり、決して恋愛模様を見世物にしようなどという卑小な考えなのではない。



また、ブラックが殊更にレッドに対して激しい怒りを見せるのは、この「戦士は冷徹でないといけない」というレッドのご立派な主張が、実は単にレッドが敵に殺された(実際は洗脳改造された)元恋人を忘れることが出来ず、自分に好意を寄せるホワイトと向き合うことを避けるための方便として使っている建前論に過ぎないことを知っており、それがホワイトに片思いするブラックには許せないのと同時に、自分自身が一番生身の人間の感情に流されているくせに他人に偉そうに「冷徹であれ」などと説教するレッドの自己矛盾ぶりにブラックは腹が立って仕方ないのである。

しかしレッドも決して方便でそれを言っているわけではなく、恋人を殺されて(とレッドは思っているが実は敵に洗脳されて敵幹部になっている)、それでも戦わねばならない悲しい宿命の中、本当は一番戦いから逃げ出してしまいたいのはレッドであろうに、それでも使命感と責任感を振り絞って戦いの場に赴く時に、生身の人間としての感情を殺して「戦士は冷徹であらねばならない」とでも言わなければやってられないというのが実情であろう。言わばその台詞は自分に向けて発されているのである。だから、「あえて生身としての自分を捨てている」レッドにしてみれば「生身の人間」を強調して恋愛云々言っているブラック達の意見についつい反発してしまうのだろう。

このように、本作において戦隊ヒーローたちがトレンディドラマの真似事の恋愛ごっこをしていると解釈されているとしたらそれは大きな間違いであり、悲惨な戦いの中で戦士であることと生身の人間であることの狭間で葛藤し続ける極限状態の中にこそ究極の純愛はあるのであり、失礼ながら凡百のトレンディドラマなどより本作のほうがよほど純化された恋愛ドラマとして成立していると言えよう。だからこそ、本作の制作スタッフはあえて恋愛要素を描こうとしたのである。そして、本物の恋愛ドラマであったからこそ、この作品は高年齢層を中心に大きな反響を巻き起こすことになったのである。



また、敵組織の内部抗争などを中心とした大河ストーリーの盛り上がりを増幅させるための工夫としては、このジェットマンにおいてはチェンジマンの時のゴズマと同じようなエイリアン侵略型の敵組織バイラムを設定しつつ、ゴズマとは違い敵組織に首領を置かないで、4人の幹部が独立して覇権争いをしつつ地球侵略を進めるという設定にした。首領不在の敵組織は初めてのことであった。これは単に「首領がいない」ということではなく、「首領がいないということを幹部たちが強く意識している」という設定になっており、首領がいれば、水面下ではいがみ合っている幹部達も首領の前ではとりあえず手を携えて従順になるのであるが、首領がいない組織であれば、権力闘争は剥き出しにならざるを得ず、その内部抗争はより激しい展開になるのである。

そして本作においては画期的なことに、これら4幹部が彼らの中から新しいリーダーを決めるための条件として、「ジェットマンを倒した者が次のリーダーになる」というルールを勝手に決めて、地球侵略と並行してゲーム感覚でジェットマンとの戦いに意義を持たせることにしたのだった。これによって、侵略行為をジェットマンが邪魔することによって戦闘が開始される場合だけではなく、バイラム側から積極的にジェットマンのみを標的とした攻撃が開始されるという場合も生じることとなり、敵組織内の内部抗争にジェットマンが巻き込まれることも多くなり、本作においては単なる三つ巴の戦いの域を超えて、ジェットマンと共闘して味方と戦う敵幹部が初めて現れることにもなる。こうした敵組織内部のドラマにレッドの洗脳された元恋人に関連する悲恋物語も絡んできて、敵幹部とブラックとの奇妙な友情物語など、ストーリー的には盛りだくさんの様相となった。

このように、チェンジマンを骨格にして新たなる肉付けや他作品で用いた手法なども付け加えていって、チェンジマンを何倍にも面白くしたようなストーリーが出来上がることになった。チェンジマンが放送されたのは1985年で、その時点で5~10歳であった世代は1991年ジェットマン放送時には11歳~16歳になっており、そろそろ「らんま1/2熱闘編」では退屈を感じる年頃であり、そこにかつて見たチェンジマンを更に面白くして、更に大人向けの内容にした戦隊ヒーロードラマがやっていると聞けば、観てみようかと思う可能性は高いと言えた。実際は1985年当時にチェンジマンを見ていた層はもう少し上の世代も含まれるであろうから、1991年時点でその層は20歳前後ぐらいまで広がり、上記のような視聴傾向は更に期待できた。

それに加えて、作品の基本設定の部分で、チェンジマン世代よりも更なる高年齢層の視聴者の掘り起こしを図るために究極の原点回帰といえる試みも行われた。それは「科学忍者隊ガッチャマン」を作品のモチーフとするということであった。そもそもシリーズ第一作であるゴレンジャーの着想の原型となったのはガッチャマンであり、ガッチャマンこそが戦隊シリーズの原点といえる。1972年から1974年にかけて放送されたガッチャマンを観ていたような小さな子供たちが1975年から始まったゴレンジャーを観たのであり、戦隊シリーズの初期の人気を支えたのである。


科学忍者隊ガッチャマン

このガッチャマン世代は1991年当時には20歳代後半から30歳前後になっており、こういう世代に「ガッチャマンみたいな戦隊ヒーローものがやってる」ということをアピールすれば興味を感じて観る人も掘り起こせる可能性があると言えた。その数はそれほど多くないかもしれないが、重要なのはこのガッチャマン世代にせよ、もう少し下のチェンジマン世代にせよ、ジェットマンで深く掘り下げている恋愛ストーリーや青春ストーリーへの理解力が高く、そうした要素に食いつきやすく、少しでも食いついた人がいれば、口コミで広範にその評判を広めてくれる可能性が高いということであった。だからガッチャマンへの回帰はやってみる価値のあることであった。

そして、このガッチャマンへの回帰の一環として、とことん作品世界において「鳥」や「空を飛ぶもの」にこだわった結果、マシンやロボのフォルムがタツノコプロテイストに溢れた独特の流線型になっていって、それまでのシリーズ作品の中で最も格好よくなっていった。


上段左からジェットホーク、ジェットコンドル、ジェットオウル 下段左からジェットスワロー、ジェットスワン

ジェットマンの乗る大型マシン「ジェットマシン」はそれまでのような戦車やトレーラーの類は無くなり、全て鳥を模した戦闘機になり、その5機の戦闘機が空中合体して大型戦闘機「イカロスハーケン」になり、この大型戦闘機「イカロスハーケン」がガッチャマンファンには涙ものの「科学忍法火の鳥」の焼き直しにしか見えない「ジェットフェニックス」なる火の玉になって敵に体当たりする大技を出すのだ。また、この5機の戦闘機が別バージョンの空中合体をすると1号ロボ「ジェットイカロス」になる。このように合体後の形態に飛行機態とロボット態の2種類があるというのも特徴的であった。これは玩具にした時により面白い遊び方が出来るようにするためであった。


左:イカロスハーケン 右:ジェットフェニックス

また、この合体前の5機の戦闘機は、それぞれ鷹、コンドル、白鳥、フクロウ、燕の形態を模したデザインになっており、それらにそれぞれ乗り込む5人の戦士のモチーフとの統一がなされている。これはライブマンの時と同じ試みで、以後はこうした、戦士のモチーフの明確化と戦士とメカのモチーフの統一というパターンが定番化する。このような5機のマシンが合体するわけだから、ライブマンの時と同様、合体後のロボ「ジェットイカロス」も格好良いデザインとなった。


ジェットイカロス(1号ロボ)

また、それまでの合体には地上走行マシンも絡んでいたため段階的合体になってスピード感が不足していたが、ジェットマンの場合、合体する5台のマシンが全部戦闘機であったため、一瞬にして空中合体するという演出も可能となり、スピード感が増した。


左:ジェットガルーダ(2号ロボ) 右:バードガルーダ(変形してジェットガルーダになる大型戦闘機)

また、中盤で登場する2号ロボ「ジェットガルーダ」は、これも「鳥」というモチーフにこだわった結果であろうが、頭部デザインが人間型ではなく鳥型になっており、シリーズ初の異形のロボとなっている。インド神話の神「ガルーダ」を模したもので、非常に格好いい。この2号ロボ「ジェットガルーダ」が1号ロボ「ジェットイカロス」とスーパー合体して超巨大ロボ「グレートイカロス」にもなるのだが、これもかなり格好いい。


左:グレートイカロス 右:ハイパーハーケン(イカロスハーケンとバードガルーダが合体したもの)

また、1号ロボや2号ロボの支援ロボとして初めての3号ロボ「テトラボーイ」も登場し、ロボット面では非常に充実していたと言える。ちなみに、要塞ロボや最強形態ロボは出てこなかった。これは前作のマックスマグマ事件がトラウマになっていたのかもしれない。また、前作ファイブマンに引き続き、最終回などでロボやマシンの操縦を生身で行うことによって巨大ロボ戦を感情豊かなものにして臨場感を増すという工夫も見られた。


テトラボーイ(シリーズ初の3号ロボ)

このようにマシン関係やロボット関係が充実していたのは玩具展開を見据えてのことでもあったが、低年齢層視聴者向けに戦闘シーンの充実も忘れずに図っていたということでもある。高年齢層だけでなく、ちゃんと低年齢層の視聴者のことも考えていたのである。その一環としてアクション面でも本作ならではの独特の特徴が見受けられる。



まずジェットマンは初の空を飛ぶことが出来る戦隊(フラッシュマンのピンクフラッシュは人間離れした身軽さで宙を歩くことが出来たし、マスクマンはオーラパワーで空中浮遊が出来たが、これらは「飛ぶ」とは少し違う。そういえばゴレンジャーはなんか普通に腰のジェット噴射機で空飛んでたような気もするが、まぁ例外としておこう)であった。といっても、大空をずっと飛び続けることが出来るわけではなく、背中から上腕にかけて小さな翼が装備されていて、これを広げてグライダーのように滑空するのであるが、この能力を駆使した攻撃が多用された。それゆえ攻撃は非常にスピーディーであり、そのスピード感を強調するために、余計な専用武器は廃して、主に基本装備の剣やレーザー銃、ナックルなどを使った肉弾戦が展開されることになる。これが非常にテンポが良いのである。

ちなみに、本作の主題歌はチェンジマンと同じ影山ヒロノブが唄っており、非常に秀逸。戦隊シリーズ前期では屈指の出来。主題歌の映像もビル群の間を5機の戦闘機が編隊飛行するシーンは非常に印象的。楽曲だけならゴーグルファイブやダイナマン、バイオマン、チェンジマンあたりと甲乙つけがたいが、楽曲と映像も込みならば間違いなくジェットマンがシリーズ前期作品ではナンバーワンであろう。





戦隊メンバー

赤:レッドホーク/天堂竜(男・リーダー)・・・唯一の軍人でプロ意識が強いが、よく動揺する

黒:ブラックコンドル/結城凱(男)・・・遊び人でレッドとよく対立する。ホワイトが好き

黄:イエローオウル/大石雷太(男)・・・心優しく太った農村青年。ホワイトに憧れる

白:ホワイトスワン/鹿鳴館香(女)・・・財閥の世間知らずのお嬢様。レッドが好き

青:ブルースワロー/早坂アコ(女)・・・お転婆な女子高生。人間関係の調整役

メンバーの呼称は「色名+鳥の名前」という形式。隊名(ジェット)は含まれない。

多彩な人間関係を描くためか、男性メンバー3人、女性メンバー2人という編成になっている。女性メンバーの色が白・青の組み合わせは初めて。本作の場合、白の戦士が従来の桃の女性戦士の特徴を、青の戦士が従来の黄の女性戦士の特徴を引き継いでいる。

黄の男性戦士ではゴーグルイエロー以来の肥満体。キレンジャーの印象が強くて肥満体のイメージがある黄の男性戦士だが、実際に肥満体だったのはキレンジャーとゴーグルイエローと本作のイエローオウルのみ。またイエローオウルはシリーズを通して唯一の変身前の姿が眼鏡をかけた戦士。

鳥の名前はガッチャマンのメンバー5人の呼び名に使われた鳥の名前に基本的に対応しているが、ガッチャマンの場合は「鷲・コンドル・ミミズク・白鳥・燕」であり、ジェットマンの「鷹(ホーク)・コンドル・フクロウ(オウル)・白鳥(スワン)・燕(スワロー)」と微妙に違う。ただ、鷲と鷹、ミミズクとフクロウはそれぞれ実際は同種なので、特に問題は無い。

ただ、カラーリングはガッチャマンのものには対応しておらず、歴代戦隊キャラで人気のあったキャラを集めた編成をした結果の色配分に、それぞれイメージの合う鳥をあてはめていったようだ。男性は歴代リーダーキャラの赤、歴代ライバルキャラの黒と、肥満体の怪力キャラのキレンジャーの黄の3人とし、女性は歴代で人気の高かったチェンジマーメイドの白、ブルードルフィンの青の2人とし、この5色に上記の5種の鳥を割り振っていくと、上記のような編成になったと思われる。結果、5人編成でスタートした戦隊として初めてピンクがいない戦隊となった。



ただ、変身後のスーツのカラーリングはホワイトスワン以外の4人が「自己色+白」のツートンカラーであるのに対してホワイトスワンだけが「自己色(白)+桃」のツートンカラーであり、ホワイトスワンが半分ピンク設定であったようなもの。変身後のスーツデザインはガッチャマンをモチーフにした極めて洗練されたもので、シリーズ前期においては最高の出来映えと思われる。なお女性戦士のスーツはミニスカート仕様。

リーダーはレッドだが、これは唯一の軍人であったからであり、唯一人、自発的にジェットマンになった立場であったので自動的にリーダーになったという程度のもので、本作においてはレッドのリーダーシップは相当動揺しており、時にはギャグキャラにすらなっている。正義感に溢れ、個人としては極めて高い戦闘能力も有するのであるが、リーダーとしての資質はそこそこあるのだが、いかんせん他のメンバーが当初は使命感に欠ける問題児揃いであったので、環境的に聞き分けの良いメンバーを相手にしていればよかった過去作品のレッドほどには恵まれていなかった。おかげでレッドホークのリーダーシップは当初は相当に揺らぐことになる。こうした動揺するレッド像は後の作品にも大きな影響を与えることになる。


レッドホーク/天堂竜 レッドのリーダーシップが初めて動揺した

サブリーダーは特に設定されていない。ブラックが実質的にはサブリーダー的なポジションにいるが、彼の行動はあまりにも組織人としては身勝手なことが多く、正式にサブリーダーと呼べるようなものではない。


戦隊の所属
ある鉱石から発して人間の身体能力を上昇させることの出来る「バードニックウェーブ」を開発して5人の超人戦士を作る実験を行っていた地球防衛軍スカイフォースの宇宙ステーションであるアースシップがバイラムの襲撃によって破壊され、4人分のバードニックウェーブが4条の稲妻となって地上に飛散した。

アースシップにおけるスカイフォース隊員とバードニックウェーブ計画の関係者、超人戦士候補者たちは先にバードニックウェーブを浴びて変身能力を得てレッドホークとなっていたスカイフォース隊員の天堂竜と計画責任者の小田切綾以外は全滅し、生き残った2人は地上でバードニックウェーブを浴びて変身能力を得た4人の民間人を探し出して、バイラムによる人類世界への侵略と戦うための民間人との寄せ集め戦闘集団「鳥人戦隊ジェットマン」を結成した。

「鳥人」とは「鳥のような人」のことで、ガッチャマンのように空を翔る超人というような意味であろう。「ジェットマン」は、これもやはり空を飛ぶジェット機をイメージしたネーミングであろう。



シリーズ初の女性指揮官 小田切綾長官

ジェットマンの長官は壊滅したスカイフォース幹部の小田切綾だが、女性指揮官は戦隊シリーズ初。元軍隊幹部だけあって統率力にも優れ、思いやりもあり、寄せ集め集団であるジェットマンをよくまとめる。

ジェットマンの基地はスカイフォースの地上施設であるスカイキャンプを秘密基地としているが、街中に堂々と建っており、しかも後半になると2号ロボに変形する鳥型巨大戦闘機が上に乗っかっている状態となる。これでどうして秘密基地なのか疑問ではある。ジェットマンの装備や武器などもスカイキャンプにて開発し保管している。


ジェットマンの秘密基地 スカイキャンプ

小田切長官はもともとはスカイフォースにおいてバードニックウェーブの計画を担当していただけだったのだが、バイラムの侵攻によってスカイフォースがほぼ壊滅してしまったので、自らの意思でジェットマンを結成した。しかしあくまでスカイフォース隊員としての論理で動いており、民間人である4人のメンバーにも軍隊式の戦士としての自覚を求めることが多く(まぁ戦っているのだから当たり前なのだが)、そのあたりはトラブルの原因になったりもするが、竜ほど融通のきかない人間ではないので、メンバーとは上手くやっている。

終盤にスカイフォースにおける小田切の上司であった一条総司令が現れ、ネオジェットマンというバードニック反応炉を体内に埋め込んだサイボーグ戦士によって構成される正規の訓練を受けたプロの鳥人戦隊を率いて、寄せ集めのジェットマンを追い払って取って代わろうとしたが、一条とネオジェットマンとの信頼関係の欠如や実戦経験の不足などもあり失敗するというエピソードもあった。


左:一条総司令 右:ネオジェットマン

これも「生身の戦士」と「機械の戦士」、「アマチュアの戦士」と「プロフェッショナルの戦士」との対比となっており、ジェットマンにおいては生身でアマチュアの戦士のほうが正統とされる結末となるのが戦隊シリーズのコンセプトを象徴していて興味深い。





メンバーの来歴


本来アースシップでバードニックウェーブを浴びて超人戦士となる予定であったのは天堂竜を含む5人の優秀なスカイフォース隊員で、ゴレンジャーやチェンジマンのようなプロの軍人によって構成される超人戦隊が生まれるはずであった。しかし竜1人が変身能力を得た時点でバイラムの襲撃を受けて、残りの4人は研究施設もろとも爆死してしまった(リエだけは生きていたが)ので、4人に浴びせるはずだった最後のバードニックウェーブを地上で浴びることになった民間人4人を探し出して竜と合わせて5人の寄せ集め戦隊を作るしかなくなってしまったのだ。


本来のジェットマン候補のスカイフォース隊員の5名(左端が天堂竜)

バードニックウェーブを浴びたのは財閥令嬢の鹿鳴館香、農村の青年の大石雷太、女子高生の早坂アコ、遊び人の結城凱の4人で、全くバラバラな境遇で、戦闘訓練を受けたことがあるわけでもなく、武道の心得があるわけでもなく、特異な能力があるわけでもない普通の民間人だった。ただ、バードニックウェーブは人間の能力を大きく上昇させるので、それを浴びたことによって運動能力が上昇していたのは確かなようだ。



言わば、竜(レッドホーク)以外の4人は、ある日突然空から降ってきたバードニックウェーブを浴びてしまったために人類存亡を賭けた戦いの矢面に立つことに巻き込まれてしまったわけで、成り行きで戦士になったのだといえる。それゆえ、プロ意識というものは無く、あくまで普通の生身の人間として戦うことを好み、特に4人の経歴を見ても分かるように、組織の論理に縛られて生きる経験に乏しいので、職業軍人である小田切や竜との意識のギャップは大きい。

そういうわけなので彼ら4人はジェットマンが秘密戦隊であるにもかかわらず、変身後もコードネームで呼び合わず、互いに本名で呼び合うし、レッドホークのことも「竜」と平気で本名で呼ぶし、小田切長官も、そんな歳でもないのに「オバハン」と言われたりする。そんな中で竜だけがコードネームで相手を呼んでも無意味なので、竜もコードネームではなく他の4人を本名で呼ぶ。この作品以降、変身後も本名で呼び合う戦隊が増えることになる。一方、敵側は本作から一貫して戦隊メンバーのことをコードネームで呼ぶという原則が確立されることとなり、戦隊メンバー内の絆の深さと敵との距離が強調されるようになり、敵と味方の差別化が明確にされることになった。

ちなみに、本作はストーリー重視の構成になっているので、戦闘シーンもその回のストーリーと密接に絡み合っており、アクションシーンもストーリーの一部として解釈された。そういうわけで、展開次第では5人全員が戦うとは限らないというパターンが初めて導入された。また、変身後の名乗りのシーンでも、基本的には最後の締め口上「鳥人戦隊ジェットマン!」はレッドが言うのであるが、一部、その回のストーリーでメインとなったメンバーや、あるいは全員で声を揃えて締め口上を言うパターンも初めて導入された。これらは本作においてはあくまで例外的に行われたのであるが、これが次々作ダイレンジャー以降は定番化していくことになる。



なお、バードニックウェーブを浴びて超人戦士になると言っても、生身の人間としての能力が最大限に引き出されるというだけのことで、人間以外の存在になるわけではない。そうして能力が引き出されたことによって、クロスチェンジャーという変身アイテムを使って強化服を着用してジェットマンに変身することが出来るようになるのだ。言ってみれば、訓練によってオーラパワーを使えるようになった者だけがマスキングブレスを使ってマスクマンに変身出来るというのと同じことで、バードニックウェーブを浴びることで訓練を経ずに特殊変身能力を開花させることが出来たということだ。チェンジマンにおけるアースフォースも同様の効果をもたらすものなのだろう。

このようにジェットマンのメンバーは生身の人間であるので恋もする。雷太(イエロー)と凱(ブラック)は香(ホワイト)のことが好きで、香は竜(レッド)のことが好きで、竜はバイラムに殺された(実は攫われて洗脳改造された)恋人の藍リエ(バイラムの幹部マリア)のことを忘れられない。アコ(ブルー)だけは(一人だけ年齢が下というのもあるのか)恋愛関係には絡まずに他のメンバーを茶化したり仲をとりもったり、一番大人の行動をとる。



ここまでメンバー間の恋愛関係を描いたジェットマンは異色作だと言われる。戦隊シリーズでチーム内の恋愛を描くのはタブーであるのに、そのタブーを破ったからだと言う。しかし、本当に恋愛関係を描くのはタブーであったのだろうか。いや、タブーであったわけではなく、そこまで描く必要が無かっただけのことであろう。

考えてみれば、地球を支配しようと攻めてくるエイリアン軍団や、この世を暗黒に変えようとする狂気の科学者や魔物と戦うヒーローというのは大変なもので、地球の運命を背負い込むというプレッシャーがのしかかる。そのプレッシャーに耐えて戦い続けるにはひたすら冷徹な戦闘マシーンに徹するしかない。しかし本当の戦闘マシーンである改造人間やサイボーグならそれでもいいのだが、生身の人間である戦隊ヒーローの場合、何か自分の自分という人間としてのアイデンティティに縋ることで、自分が生身の人間であることを確認しなければ、自分が機械なのか人間なのか分からなくなって分裂してしまうだろう。

その自分を自分たらしめるアイデンティティが既存の戦隊ヒーローの場合は、職業軍人としての使命感であるとか、打ち込んできた武道の修行そのものであるとか、悪に翻弄されてきた生い立ちに起因する怒りであるとか、父祖から伝えられてきた宿命であるとか、生来の確固とした正義感であるとか、割と特殊なものであったのだった。自分が生身の人間であることを確認したくなったら、そういう部分に思いを馳せればよかったのであった。



しかしそういう正義のヒーローに適した類のアイデンティティを持たない全く普通の人間の場合、人生において自分が最も生身の人間として没頭してきたことといえば、中学生や高校生ならば何か漠然とした好奇心そのものであったりもするのだろうけれど、成人した健康な大人の場合は大抵は他人を愛したり愛されたりすることによって、自分を生身の人間であると確認してきたのではなかろうか。

そうした普通の大人の男女が自分が機械なのか生身なのか分からなくなるような状況に置かれて、生身であることを確認したくなった時、彼らは誰かと恋愛をすることによって、自分が生身の人間であることを確認しようとするのではなかろうか。雷太や凱や香はまさにそうした普通の大人の男女であったので、普段一緒に行動している異性に対して恋愛感情を持つに至ったのであろう。

つまり、彼らがチーム内で恋愛感情を抱くようになったのは、ヒーローとしての準備が全く出来ていない人間がいきなり過酷な戦いに巻き込まれて戦闘マシーンとしての日々を送るようになったことによって、自分を冷徹な殺人機械ではなく生身の人間であると確認するための自然な行動として恋愛をせざるを得なくなった結果であるといえる。



アコだけはまだ未成熟であったために、恋愛によって自分を生身の人間であると確認するという経験そのものがまだ無く、だから極限状況において自己確認のために恋愛に走るということがなく、何か別の行動で発散していたのであろう。ならば高校生戦隊であったターボレンジャーの面々もアコと同じような発達段階であったと考えれば、彼らもチーム内恋愛に走らなかったのも納得がいくであろう。

竜もまた職業軍人であるとはいえ、いきなりの過酷な戦いの日々において自分が冷徹な殺人機械ではなく生身の人間であると確認したい気持ちがあるからこそ、死んだ(と竜が思っている)恋人のリエのことを想うのであり、しかしそこには絶望しか無いので、竜としては自分の生身の部分からは目を背けて冷徹に徹するしかなくなってくるようになるのである。そこはさすがに職業軍人なのでなんとか使命感でカバーするのであるが、後に敵幹部マリアこそが元恋人のリエの変わり果てた姿であると知り、元恋人と戦わねばならないという過酷な運命に巻き込まれてしまい、しかもそのマリア(リエ)が記憶が戻った後に殺されてしまうという悲劇が起こり、竜の絶望は極限に達してとうとう破綻することになり、そこで香の存在の重みに気づくことになるのである。

ジェットマンの場合、このように極端に「巻き込まれ型」なのであり、だからこそ恋愛によって自己の「生身」性を確認する必要が生じたのだ。ジェットマン以前においてはこれほど極端に「巻き込まれ」であったことはなく、戦隊メンバーは恋愛に走るまでもなく自己確認を出来るだけのバックグラウンドを備えていたのであった。それゆえチーム内恋愛が起きていなかったのであり、恋愛はタブーであったのではなく、必要でなかったから起きていなかっただけのことなのだ。



そしてジェットマン以降においてもジェットマンのように偶発的事故で戦いに巻き込まれるというような極端な事例は無く、単にヒーローになるバックグラウンドの無い者がヒーローになってしまうという意味での「巻き込まれ型」はカーレンジャーとメガレンジャーがあり、これらの中では恋愛要素は描かれている。但し、カーレンジャーは極めてシュールな世界観であり恋愛要素が入り込みにくくなっており、またメガレンジャーは高校生戦隊なのでヒーロー達が恋愛に関して未成熟であり、どちらも恋愛描写は控えめにはなっている。なお、ゴーゴーファイブ以降はヒーローとしての価値観の大変化が起きているので、ジェットマンのような葛藤自体が存在しない世界になっていくので除外するが、だからといってここでも恋愛はタブーになっているわけではなくタイムレンジャーなどでは重要な要素になっている。

とにかく、要するに恋愛は戦隊シリーズにとって決してタブーであったわけではなく、恋愛に頼る必要の無いバックグラウンドやアイデンティティを持った戦隊が続いていたというだけのことであり、ジェットマンにおいてはそうしたバックグラウンドの無い連中がたまたま事故によって戦隊メンバーになったために恋愛関係が自然に生じただけのことであったのだ。

しかし、それは果たして「たまたま」なのかというと、決してそんなことはなく、もちろん制作サイドでわざとそういう設定にした結果である。わざと、20歳代中頃の全く普通の男女を否応無く戦隊メンバーになるという運命に巻き込んで、恋愛感情へ救いを求めさせるまで追い詰める設定にしたのである。何故そこまで彼らを追い詰める設定にしたのかというと、それは、そうやって噴出する彼らの恋愛騒動の揉め事の中にこそ、生身の変身ヒーローである戦隊ヒーローの核心部分が表出してくるのであり、それを描くことによって、かつてない深さでヒーロー達の内面を描写しようとした狙いがあったのである。そこまで深い描写を求めたのは、高年齢層に強くアピール出来るドラマを求めたからであり、それはシリーズ最後の作品になるかもしれないという危機感が大きな要因になっていた。それゆえ、このシリーズ最大の危機を乗り越えて以降は、基本的に低年齢層を対象とした作品が続くようになったのでジェットマンほど深くヒーローの内面を抉り出そうという試みはなされておらず、それゆえ、その後のヒーロー達はジェットマンほどには極端に「巻き込まれ」ておらず、恋愛感情に走ることも無いわけである。





戦隊の敵
様々な次元の世界を侵略してきた「次元戦団バイラム」が地球侵略のために送り込んでくる「次元獣」や「バイオ次元獣」という怪物や戦闘兵とジェットマンが戦うが、本作はドラマ部分が濃い構成になっているため、毎回これらの使い捨て怪物が出るわけではなく、全部で30体ぐらいしか出てこない。なお、これらは一度倒されても再生し巨大化する。


バイラムの4大幹部

また本作においては敵怪人は地球侵略のためだけでなく、バイラムの4人の大幹部が「4人のうちでジェットマンを倒した者が次のリーダーになる」という取り決めをしているために、ジェットマン打倒のための尖兵としても送り込まれる。また同様の理由で4幹部自ら前線に立ってジェットマンと戦うことも多い。そういうわけで使い捨て怪人の登場が少なめなのである。従来の戦隊はあくまで「怪人ハンター」という役回りであったのだが、ジェットマンの場合はこのように逆に標的にされることが多く、なかなか大変である。

バイラムは異次元人の混成軍のようなもので、本来の首領は「女帝ジューザ」というが、地球侵略に先立つ裏次元侵略の戦いの際に行方不明となり、バイラムは首領が不在の組織である。それゆえ、ラディゲ、マリア、グレイ、トランなどの幹部が首領の座を巡って争っている。


女帝ジューザ(途中で復活するがジェットマンと4大幹部の連携により倒される)

ラディゲは残忍冷酷な異次元人幹部で、マリアは竜の恋人のリエが洗脳改造された姿、グレイはロボット幹部、トランは超能力を使う異次元人の少年幹部。ラディゲが味方を裏切ることも平気な卑劣漢で、グレイは信義ある悪役という感じで、トランは歪んだ性格の本能的な悪という感じでちょっと狂気じみている。マリアは残忍だが悲劇的なキャラという感じ。


ラディゲ

ラディゲはマリアに倒錯した愛情を抱き、グレイもマリアに恋心を抱く。マリアは好戦的で残忍だが洗脳前の記憶からピアノが得意で、劇中で美しい演奏をしばしば披露する。途中でトランが成長していっそう狂気を増したトランザが他の3人を屈服させるが、ラディゲの逆襲によって敗れ、トランザは精神が崩壊し退場する。その後、洗脳が解けたマリアがラディゲによって殺され、グレイはブラックコンドルに倒され、残ったラディゲがジェットマンに倒されてバイラムは滅びる。


トラン(右はトランが成長した帝王トランザ)

こうした内部抗争にジェットマンとの戦いが絡むというパターンもお馴染みのものだが、途中で一時的にジューザが復活した時と、トランザが他幹部を屈服させた時の2度にわたりラディゲはジェットマンと手を組んでジューザやトランザと戦っている。


マリア

また、マリアと竜の悲恋物語も洗脳の解けたマリアがラディゲに斬りつけて逆に殺されてしまうというマリアの死によって悲しい結末を迎えるが、グレイのマリアへの片思いもロボットゆえの悲哀が出ていて、なかなか物悲しい。このグレイと奇妙な友情関係で結ばれるのが凱ことブラックコンドルだが、マリアの死を見取ったグレイはブラックコンドルと一騎打ちの末敗れてマリアの元に旅立つ。


グレイ

最後は巨大化したラディゲの背中のマリアがつけた傷をジェットイカロス(1号ロボ)のバードニックセイバーが竜の搭乗するジェットガルーダ(2号ロボ)もろともに貫いて倒すという、悲しくも美しい結末であった。この後半の展開はかなりのクオリティで、完全に子供向け番組のレベルを超えたものであった。

バイラムは典型的なエイリアン侵略型の敵組織の類型で、チェンジマンにおけるゴズマが全宇宙を侵略する宇宙人混成軍であったのに対して、こちらは全次元を侵略する異次元人混成軍であり、チェンジマンにおいて時々ゲスト的にゴズマに滅ぼされた星のレジスタンス戦士が登場したりするのと同じように、こちらでもバイラムに侵略された次元のレジスタンス戦士がゲスト出演する回も何度かあった。





作品のヒロイン
本作のヒロインはホワイトスワン(鹿鳴館香)、ブルースワロー(早坂アコ)、そしてマリア(藍リエ)であろう。そして、これらのヒロインは本作が人気が高いせいもあるが、みな人気の高いヒロインである。



香は本来は類型としては「戦隊のお姉さん」タイプであったはずなのだが、恋愛模様が過剰になったせいで「戦隊のお姉さん」としての機能をほとんど果たすことはなく、本作のメインストーリーともいえる恋愛ストーリーの中心に位置するような役回りであったので、ストーリー展開上、重要な役回りにあり、単なる「戦隊のお姉さん」的な扱いではなく、「女性メインキャラ」タイプのヒロインとなった。このように、「5人のうちの1人」ではなく、重要な役回りである「女性メインキャラ」を戦隊ヒロインが演じるのはライブマンのブルードルフィン以来のことであった。


ホワイトスワン/鹿鳴館香


香は最初はかなり世間知らずのワガママな感じで、恋愛に関してもややしつこい感じであったが、次第に魅力を増していき、最終的には竜の心の支えとなって、竜と結婚することになった。そして竜と結ばれるまでは凱からも熱烈な求愛を受けていたのであり、考えてみれば非常に幸せな女性である。ホワイトスワンこと鹿鳴館香は歴代ヒロインの中で最も幸せなヒロインであるとしておこう。最後、ウェディングドレス姿まで披露できるヒロインなんてジェットマンでこそ可能なことであり、他にいないことだろう。惜しいのはお嬢様キャラであったため、ロングスカートが多く、ミニスカートやホットパンツのような戦隊ヒロインお約束のファッションがあまり無かったことだが、それはそれで魅力ともなっていた。


ブルースワロー/早坂アコ


一方、女子高生の早坂アコは可愛らしく活発で自由奔放(ジェットマンになるにあたり時給1500円を要求するなど、従来のヒロインにはあり得ない行動多し)で、前作のファイブイエローこと星川レミに始まる「マスコット」タイプのヒロイン像を継いで完成させた存在であり、むしろルックス的には香よりも美人であったと思われるほど魅力的なキャラクターであった。また、香のキャラクターがあまりに濃すぎて、無難な「戦隊のお姉さん」的な役割をほとんど果たせなかったので、代わりにアコが「戦隊のお姉さん」的な役割もほとんど引き受けたような格好になった。

このようにアコは普通の戦隊作品なら十分満足のいくヒロインであったのだが、とにかく濃い恋愛ドラマがストーリーのメインになっている本作においては、その恋愛関係から一人外れてしまっていたため、恋愛部分が盛り上がれば盛り上がるほど、アコの存在感が相対的に低下していくことになったのは仕方ないことであった。

だが、香は本シリーズにおいては他に類例の無いキャラ(同じ恋愛キャラであるタイムレンジャーのユウリはむしろ全く逆で女性版の天堂竜のようなツンデレキャラである)であり、だからこそ魅力があるともいえるのだが、シリーズにおける後のヒロイン像に与えた影響の大きさで考えるならば、「マスコット」型のヒロイン像の方向性を明確にした早坂アコのほうがより重要であるといえる。


マリア/藍リエ


そしてマリア(藍リエ)はこの作品の裏ヒロインであり、「女性メインキャラ」の役割を担う悲劇のヒロインであった。とても美しく、竜が香のアプローチを無視してマリアのことを想うのも説得力があった。悪のヒロインを含めた悲劇のヒロインの順位をつけるとしたなら、かなり上位となるだろう。

バイラムに捕らえられ、ラディゲに洗脳されてマリアとなったリエは終盤になって記憶を取り戻すが、自らがマリアとして人々に対して行った悪事の数々に罪を意識に苛まれ、結局、ラディゲに斬りかかることでケジメをつけることにした。自分に対して倒錯した愛情を抱くラディゲならば、記憶が戻ったことを知れば決して自分を手放さないために自分を生かしてはおかないだろうと見越してのことなのだろう。案の定、ラディゲは斬りつけられた瞬間、リエの記憶が戻ったことを知り、「レッドホークには渡さん!」と言ってリエを斬り殺してしまう。リエが最後に竜に言う台詞が「私の記憶を消して」であった。苦しみ悩んだ挙句、この言葉に従って竜はリエを忘れて香と共に歩む決心をし、その決意を胸にラディゲとの最終決戦に赴くのだった。





作品の評価
結局、ジェットマンは高年齢層の視聴者の掘り起こしに成功し、視聴率の回復に成功した。また、マシンのデザイン刷新や3台のロボットの投入も功を奏して玩具の売り上げも上昇したが、高年齢層はあまり玩具は買わないので、つまりは低年齢層の視聴者も増えていたのだろう。



恋愛要素ばかりが注目されがちだが、恋愛要素も含めたストーリー面の面白み、深み、洗練されたアクションやメカ類、俳優陣の好演など、全てにおいてクオリティの高い作品であった。特になんといっても恋愛絡みのドタバタ劇を通して軽妙なタッチで「生身の人間として生きるか、冷徹な機械として生きるか」というテーマを呈示し、「生身の人間が強化服を着て戦う」という戦隊シリーズの核心的なコンセプトを確認させたのは見事であった。



この時点で本シリーズにおいてその核心的テーマに最も肉薄したのはライブマンであったのだが、ライブマンにおいてはそれは機械化人間の悲劇を残酷に描くという暗い陰惨なストーリーを使って表現された。それゆえライブマンは前期作品における「陰の最高傑作」としたのだが、同じ核心的テーマを明るいラブコメディーの中で表現したジェットマンは前期作品における「陽の最高傑作」と言うべきであろう。

ならば、シリーズ第二期、シリーズ前期における最高傑作は果たしてライブマンなのかジェットマンなのか、どっちなのかというと、やはりジェットマンであろう。それは伝説と化している問題の最終回後半部があるからである。

ジェットマン最終回の後半は戦いが終わって3年後、元ジェットマン達のその後のお話になっており、竜と香の結婚式に向かう途中に些細な喧嘩でチンピラ(実はブラックコンドルのスーツアクターの人が顔出し出演している)に刺された凱が怪我を隠して結婚式に駆けつけ、竜に「ありがとう」と言ってから、そこで微笑みつつひっそりと死んでしまうという話になっている。このラストシーンには賛否両論があるが、戦隊ヒーローはあくまで生身の人間であり、強化服を脱いでヒーローをやめれば、結婚もするしチンピラに刺されたぐらいで死ぬこともあるという、「普通の人間として生きて死んでいく」という当たり前なことだが忘れがちな、このシリーズの核心的部分を爽やかな演出で見せ付けてくれたという意味で秀逸なシーンであると思われ、このシーンがあるゆえに、ジェットマンをシリーズ前期の最高傑作に推したいと思う。



なお、結城凱は戦隊シリーズにおいて初めて役者の都合ではなくストーリー上の都合で死んだ戦隊メンバーとなったが、彼はあくまで「元メンバー」であり、戦いが終わった3年後の、最終回のラストシーンの後日談的なエピソードにおいて、ブラックコンドルとしてではなく結城凱という1人の人間として死んだのであり、戦いの途中で戦隊メンバーとして死んだわけではない。つまり殉職扱いではない。ストーリー上の必然の殉職の最初の事例は次作のジュウレンジャーが最初の事例となる。

何にせよ、ブラックコンドルこと結城凱という男はその最後まで異例ずくめのキャラであったわけで、その「飲む、打つ、買う」を地でいく、およそ従来の子供向け番組のヒーロー像とはかけ離れた型破りのキャラクターは賛否両論の大反響を呼び、カルト的な人気を獲得していたので、その衝撃の最期も大きな話題を呼ぶことになった。


ブラックコンドル/結城凱 アウトロー的な異色キャラが大きな反響を呼んだ

そして、この竜と香の結婚式の記念撮影のシーンで、それを眺める凱が力尽きて手にした煙草が落ちて凱の死を暗示したカットの後、記念写真の中央にいる竜の視界にリエの幻が一瞬現れて、微笑んで消えていく。そしてそれを見て竜も微笑んで、その後エンディングテーマが始まるので、実質的にそれがジェットマンのラストカットになるのだが、この時のリエと竜の表情が何ともいえず良い(いや、この結婚式のシーンはみんな表情がすごく良いのだが)のである。まさに戦隊シリーズ前期の最終カットに相応しい名場面であったと思う。本作は凱や香などの異色キャラが注目を浴び、「戦うトレンディドラマ」などとも言われたが、このラストカットで、やはり竜が主役のドラマだったのだと実感させられる。



シリーズ第二期はダイナマンから始まりチェンジマンで頂点に達し、ライブマンで最高度の内容の深みを見せて実質的には完結していたのであるが、その後、放送枠変更などのアクシデントで生じた視聴率低迷を脱却するために紆余曲折を経て、思わぬ形でこのジェットマンという最高傑作を生み出して幕を閉じることになったのであった。ストーリー、アクション、コスチューム、メカデザイン、主題歌など、全ての要素でジェットマンが第二期では一番であり、総合的にも最高傑作であるといえるだろう。

これで戦隊シリーズは打ち切りの危機を回避して、晴れて新境地の開拓に乗り出していくことになる。しかし偉いのが、ここでジェットマンの成功に安穏として、高年齢層向けにジェットマンの二番煎じのような作品を作ることなく、当初の予定通りに低年齢層の視聴者開拓のための新路線を試していったことである。この試みが次の第三期の幕を開けることになる。
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未分類 | 00:10:36 | Trackback(0) | Comments(7)
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2009-01-04 日 01:54:26 | | [編集]
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2009-01-04 日 09:31:24 | | [編集]
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2009-01-05 月 18:46:09 | | [編集]
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2009-01-27 火 17:21:48 | URL | megarotics [編集]
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2009-05-20 水 21:49:13 | | [編集]
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2010-11-15 月 18:17:55 | | [編集]
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2011-01-02 日 18:34:21 | | [編集]
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