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名無し

Author:名無し
今年の戦隊シリーズ最新作「ゴーオンジャー」が結構面白い。
そこで思い立って戦隊シリーズの歴史を自分勝手に脳内補完してまとめてみようかと思う。かなり勝手な思い込みが多いのはご了承のほどを。

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13.高速戦隊ターボレンジャー
13.高速戦隊ターボレンジャー(1989)
1989/2/25~1989/9/30 土曜日18:00~18:25
1989/10/6~1990/2/23 金曜日17:30~17:55




作品の特徴
本作においては「秘密戦隊ゴレンジャー」以来、12年ぶりに「~レンジャー」というタイトルが復活した。これは戦隊メンバーがレンジャー訓練を受けたという意味ではなく、シリーズの元祖となった作品を意識しての原点回帰という意味合いであろう。ただゴレンジャー自体は結構何でもありの作品だったので、何か特定の方向性を志向しての原点回帰ではなく、シリーズの歴史を通して積み上げてきたフォーマットから自由な立場で新境地を開いていこうという程度の意味合いであろう。

また「~レンジャー」の前につく「ターボ」とその前の「高速戦隊」は、本作が車をモチーフとしていることによるものである。モチーフといっても全編にわたるものではなく、メンバーの操縦する大型マシンが従来の戦闘機や重戦車の形態ではなく、スポーツカー、ダンプカー、ジープ、バギー、ワゴン車という市販車の形態をしており、この5台のマシンが合体して巨大ロボ「ターボロボ」になるという設定においてのことである。これはこの頃、玩具界では「ミニ四駆」のブームが起きており、これに便乗して戦隊関連のグッズの売り上げを伸ばそうというスポンサー企業バンダイの意向によるものであろう。よって、この「車をモチーフにする」というのは確かに新しい試みであったが、制作スタッフが作品として目指していた新境地というわけではない。

作品として目指していた新境地としては本作においては2点、重要な点がある。まず初の高校生ばかりで構成された戦隊であったということである。これは前作ライブマンで好評を博した青春ストーリーという路線を更に強化しようとしたものであるが、ライブマンにおいては「苦悩する青春」が描かれたのに対して、もう3作品連続して深刻なストーリーのものが続いていたことから、このあたりで明るい作風に切り替えて低年齢層を強く意識したものを作ろうという方針のもと、「明るい青春ストーリー」というコンセプトで高校生を主人公にした戦隊ものという新境地を開いたのだった。


シリーズ初の同年齢の高校生戦隊(中央白い服は3年A組担任の山口先生)

本作のように高校のクラスメート達によって構成される戦隊ならば、敵組織との因縁関係を特に発生させなくても、敵組織との戦いと並行して彼らの日常の学校生活を描くことによって、ある程度は彼らの内面を描写することは可能なのだった。もちろん因縁関係があったほうがより話は深くなるのだが、あまりにそれをやりすぎるとストーリーが重くなっていくので、本作の場合はどちらかというと低年齢層を意識したものであったから、日常生活を描くことで内面描写をするということになった。そのためには高校生戦隊というのは何かと好都合であったのだ。




ただ問題は、普通の明るい、特に敵組織と因縁関係も無い高校生たちがどうしてヒーローになって敵組織と戦う羽目になるのかである。地球の危機を察知した科学者によって戦士が召集されるというパターンを使うにせよ、従来は一応それなりの特異な才能を有した人材がリストアップされるのが常であったし、そうでなければ説得力というものが無かった。そうなると既存のものの中ではチェンジマンの時のように「偶然に何らかの光線を浴びて戦士の資質を得る」というパターンだけが残るのであるが(チェンジマンはそれでも一応戦闘のプロであったのだが)、このパターンをストレートに使うだけでは、何故高校生ばかりが選ばれるのかについての説明が上手くつかない。

そこでチェンジマンのこのパターンにおいて「地球の意思で選ばれた」という側面に着目して、人間が理屈で戦闘能力などを測定して選ぶのではなく、人間を超越した存在が人知を超えた基準によって戦士を選び出すという設定にすることによって、一見説得力の無い「高校生がヒーローになる」という設定に説得力を持たせようとする方向性が模索された。

人知を超えた基準によって戦士を選び出す存在となると、もちろん人間以外の存在ということになるが、この場合、宇宙人や地底人のような、単に人類よりも文明が進んでいるだけで基本的には人類と同じ現世の法則原理に縛られて生きる存在では、それほど人類の判断と違った判断をすることには説得力が生じない。つまり判断者は「神」や「地球の意思」とでもいうような別次元の超自然的存在である必要がある。そこで、この作品ではそうした「地球の意思」の人格的存在として「妖精」を登場させ、「妖精(地球の意思)によって選ばれた戦士」という設定を導入したのだった。


妖精シーロン

よく「妖精は純真な心を持った者でないと見ることが出来ない」と言われるが、この説を援用して「まだ純真な心を残している高校生であるからこそ妖精の姿を見ることが出来る」という主張をすることによって、「高校生戦隊」という一見無茶な設定に逆に説得力を持たせることに成功し、その上で何故5人だけが妖精を見ることが出来るのかについては、「子供の頃に妖精の光を浴びた」ということにしたのだ。

しかし劇中設定では子供の頃に妖精の光を浴びたのは5人だけではないようで、他にも同様の資質を持った若者が登場したりもする。富士山麓にある「妖精の樹」に触れた子供達が妖精パワーを身体に宿したという設定になっているのだが、それならば別にこの5人だけに限らないのであり、それならば子供の頃に妖精の樹に触れた人ならば、そこらのおっさんでも戦士になれそうなものだが、やはり妖精の光の効果は純真な心を保持し続けることによってしか持続しないものなのだろう。基本的にそういう設定があるからこそ「高校生戦隊」というものに説得力が生じるのである。

このようにして「妖精」という人知を超えた神秘的な生き物が戦隊シリーズに登場してくることになったのだが、それならば敵もまた、宇宙人でもマッドサイエンティストでもない、人知を超えた神秘的な悪の妖精族、つまり「魔族」のようなものでもいいということになる。実際、シリーズも13作目になっており、毎回毎回、エイリアンや暗黒科学者による侵略ばかりではマンネリ化は避けられず、何か新しいタイプの悪役が必要となっていたので、ここに「暴魔」という名の魔族が新しいタイプの敵組織として現れることになったのだった。こうした「妖精」や「魔族」という神秘的要素の導入がこの作品の重要な新境地の2点目である。


ターボGT(レッド専用マシン)

他にこの作品における新機軸としては、1号ロボである「ターボロボ」(5台のマシンが合体)と2号ロボ「ターボラガー」(巨大戦闘機が変形)がスーパー合体して超巨大ロボ「スーパーターボロボ」となるまでは前作と同じだが、さらにターボレンジャーの要塞基地までが人型超巨大要塞ロボ「ターボビルダー」に変形し、更にその人型超巨大要塞ロボ「ターボビルダー」に超巨大ロボ「スーパーターボロボ」が格納されて一体化し、「スーパーターボビルダー」という最強形態になることが挙げられる。


左:ターボトラック(ブラック専用マシン) 右:ターボジープ(ブルー専用マシン)

そして、それに伴って本作では前作までマシンやロボを運搬していた巨大母艦というものが登場しなくなり、マシンやロボは全て要塞基地から発進するようになった。これ以降、シリーズにおいて巨大母艦は登場しなくなり、マシン類の収納場所は要塞基地がメインになる。


左:ターボバギー(イエロー専用マシン) 右:ターボワゴン(ピンク専用マシン)

ただ、ロボット類のデザインに関しては、せっかく合体前のマシン類が今までの普通のマシン類と違って明らかに市販車の形態をしているという特色を持ちながら、合体すると今までのロボとそれほど違わない平凡なデザインに落ち着いてしまったのは物足りなかった。そういう点では前作ライブマンのほうがマシンもロボも斬新なデザインに挑戦していたのであり、そこから一歩後退してしまった感があった。





戦隊メンバー

赤:レッドターボ/炎力(男・リーダー)・・・野球部のエースで4番、熱血暴走型で正義感が強い

黒:ブラックターボ/山形大地(男・サブリーダー)・・・陸上部、屈強な肉体を持ち頭も良い

青:ブルーターボ/浜洋平(男)・・・水泳部、甘いマスクで女子生徒の人気は高い

黄:イエローターボ/日野俊介(男)・・・体操部、陽気なムードメーカー

桃:ピンクターボ/森川はるな(女)・・・バトン部、生徒会長を務める学校一の秀才

メンバーの呼称は「色名+ターボ(隊名)」という形式。

原点回帰という意味なのか、5人戦隊でスタートした戦隊としては久しぶりに「男4、女1」という編成に戻り、女性戦士の色は白や黄や青ではなく、ゴレンジャーと同じく最も古典的な桃に戻った。なお、女性戦士であるピンクターボのスーツデザインの腰のあたりはミニスカート風になっている。

それまでの作品においてはメンバーの年齢構成はバラつきがあったが、本作ではクラスメートという設定であったので年齢は全員一緒の18歳となった。それまではリーダーのレッドが大抵は最年長であったが、年齢的には他のメンバーと対等な存在になった。しかし本作ではレッドターボに変身する炎力は生来のリーダーシップを持った男の子として描いてあり、学業はともかく運動能力においては5人の中で傑出した存在として描かれていて、赤の戦士のリーダーシップは尊重した作りとなっている。


大型戦闘機ラガーファイター(ターボラガーに変形する)


戦隊の所属
妖精と交信することの出来る装置を発明した太宰博士は妖精族の最後の生き残りのシーロンと出会い、2万年前に人類と妖精が協力して封印した暴魔が復活して人間世界への侵略を開始したことを知り、シーロンと博士は協力して暴魔と戦うための戦隊を創始し、最初の暴魔が地上に復活した際に博士の研究所のそばにある武蔵野学園高校の妖精を見ることの出来る5人の生徒を山間の荒野に瞬間移動させ、地球を守るためにターボレンジャーになって暴魔と戦うように頼む。


太宰博士

ターボレンジャーの変身アイテムであるターボブレスや強化スーツ、マシンやロボ、その他メカ類などはシーロンと太宰博士の連係で開発された。一応、戦隊の創始者は太宰博士だが、ターボレンジャーの指揮官的役割はシーロンが担うようである。


要塞基地ターボビルダー

しかし、シーロンは他の人には見えないしドールハウスに住んでいるし、太宰博士のほうは5人の通う武蔵野学園の担任教師には変人と思われているし、それまでの戦隊指揮官に比べるとかなり威厳が無い感じではある。ただ威厳は無いが案外頼りにはなる。


メンバーの来歴

中央は太宰博士

東京都立武蔵野学園高校の3年A組の5人の生徒達で、子供の頃に妖精の光を浴びた影響で妖精シーロンの姿を見ることが出来た。そのため、太宰博士とシーロンからターボレンジャーに変身して暴魔と戦って人間世界を守るように頼まれ、ターボブレスを使って強化スーツを着用してターボレンジャーになるようになった。

光を浴びて戦士となるという設定はバイオマンやチェンジマンと似ているように思えるが、彼らは光を浴びたといっても「妖精が見える」という点以外は普通の人間と何ら変わらず、バイオマンのように戦士になる前から特異な才能を発揮していたわけではない(スポーツは得意だったようだが、それは妖精の光の影響ではないようだ)し、チェンジマンのように軍事訓練を受けていたわけでもない。

また、妖精の光を子供の頃に浴びたのは何も彼ら5人だけではなく、ちゃんと探せば他にも見つかったはずである。それまでの戦隊のメンバー探しはそれなりにちゃんとした組織が広範な調査を行って候補者をリストアップしてから絞り込んでいくものであったが、太宰博士とシーロンにはそこまでの組織力も時間的余裕も無かったのであろう。それで、とりあえず研究所の一番近くにある高校(若い子のほうが妖精が見える確率が高いがあんまり幼すぎては戦えないので高校生ぐらいが妥当)でシーロンが探したら5人が該当したということなのだろう。


左:ターボラガー(2号ロボ) 右:ターボロボ(1号ロボ)

該当したといっても、それは「妖精が見える」という点だけであり、戦士としての適性を十分に吟味した上で決定したわけではない。シーロンは「妖精の光を浴びた5人こそ地球を守る戦士の素質がある」と言うが、実際に戦えるかどうかは別問題のはずである。もちろん、妖精シーロンの姿が見えず交信も出来ないのであれば不便なので、それは必要な条件ではあるが、それだけで戦士が務まるわけではない。だから博士やシーロンはもう少し他も探してみても良かったはずであるし、5人も躊躇して拒否しても別に良かったのである。彼らには切実に戦わねばならないような理由は無かったのだから。

しかし、それでも彼らが戦うことを決意したということは、本当に戦士やヒーローの素質というものに恵まれていたのであろうとも思えるが、更に彼らの前向きな正義感と、若者らしい好奇心も表しており、そこに葛藤があまり無いというところに、この作品の陽性のストーリー傾向が象徴されており、やる気はあるが戦士としての準備万端とは言い難い若い未熟な連中が戦士となることによって引き起こされるドタバタ劇によって作品の低年齢層向けの方向性が決まっていくことになるのである。



なお、戦隊メンバーの5人は全員が運動部のエース格で、特にリーダーの炎力は野球部のエースで四番という、いわゆる学園のヒーローであり、また紅一点の森川はるなはバトン部のエースであると同時に生徒会長で学校一の秀才、しかも美人という、出来過ぎなくらいのパーフェクトな学園のマドンナであり、つまりは彼らは戦隊ヒーローになる前から、普通に学園のヒーローをやっていたことになる。

だから彼らはヒーローになることにそれほど違和感は感じなかったと思われ、それゆえ、この作品内の学園生活の描写も、我々普通人が普通にイメージする学園生活とは少し印象が違う。いわば、「高校生がヒーローになってしまった」という感じではなく、どちらかというと「ヒーローが高校生をしている」という感じに近いのである。もちろん、彼らが戦隊ヒーローをやっているということは秘密なのであるが、バレても意外な感じはあまり無いであろうと思われる。彼らはもともとヒーローの素養のあった高校生たちであったからである。それゆえ、5人のメンバーや、その他、月影小夜子(キリカ)や流星光(ヤミマル)などの言動はどこかブッ飛んでいるのであり、あまりリアルとはいえない。


Vターボバズーカ

そういう点、同じ高校生戦隊でも、後のメガレンジャーとは大きく様相が異なっている。メガレンジャーの場合は、どちらかというと日陰者の文化部、しかも「デジタル研究会」という、傍目から見ればオタク集団と見られかねないような同好会のメンバーが成り行きでヒーローになったのであり、まさに普通の高校生がヒーローになってしまったという設定である。それゆえ、高校生活の描写についてはメガレンジャーのほうがターボレンジャーに比べてリアルに描かれており、一方、ターボレンジャーにおいては学園生活はそれほど詳細には描かれていない。これはメガレンジャーが「等身大ヒーロー」を描こうとしていたからでもあり、一方、ターボレンジャーはあくまで特別な存在としての正統派ヒーローを描こうとしていたという違いがあるということになる。


スーパーターボロボ(ターボロボとターボラガーがスーパー合体したもの)


戦隊の敵
2万年前に人間と妖精によって封印された魔族「暴魔百族」が、自然破壊によって妖精の力が衰えたことによって封印が解けて復活し、世界支配を目論んで人間世界に「暴魔獣」という怪物や下級兵士たちを送り込んでくるようになった。ターボレンジャーはこの暴魔獣たちと毎回戦っていくことになる。なお、暴魔獣は倒されると暴魔百族の幹部らの発射する再生巨大化光線を浴びせられて復活し巨大化する。


聖獣ラキア(古代に暴魔を封印した妖精の守護神。3話で星になる)

暴魔百族は本拠地の暴魔城を支配する大帝ラゴーンの下に幹部が何人か存在するが、彼らは本シリーズに出てきたエイリアン侵略型や暗黒科学型の悪の組織のように内輪揉めはほとんどしない。何故なのかというと、エイリアン侵略型や暗黒科学型の組織に集う連中というのは何らかの俗な欲望があって、その実現のために組織を利用している場合が多く、決して一枚岩ではないわけだが、それに比べて魔族の場合は存在自体が純粋なる悪なのであるから、人間世界や善良なる物への憎悪は本能的なもので、そこに変な駆け引きや計算は介在しないので内輪揉めなどしないのだ。また、人間への憎悪が本能的なもので極めて強いため、仲間意識が強く、仲間をとても大事にするので裏切りや内紛などはあまりしないのだ。

つまり、この作品では従来の本シリーズには無かった新しい敵組織の類型が出現しているということになる。それは「純粋なる本質的な悪の邪念そのものが本能的に破壊行為を行う」というもので、具体的には魔族、妖怪、悪魔の類であり、彼らを封じていた結界や封印のようなものが解除されて、解放されて暴れだした彼ら妖魔が自身の王国を打ち立てたり、何らかのより大きな魔力を有した悪の存在を復活させようとしたりする。この類型の悪の組織およびその行為をここでは便宜的に「妖魔解放型」とでも呼んでおく。


暴魔大帝ラゴーン

しかし、この妖魔解放型の暴魔百族の場合、その悪はあまりにも純粋で超越的で、ある意味神秘的ですらあり、とにかく人知を超えたものであるから、暴魔と人間との間に接点はあまり無い。だから暴魔とターボレンジャーとの間に因縁関係はあまり生じない。そして暴魔の内部でも内部抗争などのドラマも生まれないので、ストーリーとしては暴魔はひたすら淡々と暴魔獣を送り込んできて、ターボレンジャーがそれを淡々と迎え撃つという単調なものになり、そこにターボレンジャー側の高校生らしい青春ストーリーが加わってくるという構成になる。


暴魔百族の幹部たち

低年齢層へのアピールを第一に考えていた本作においてはストーリーはあまり複雑化せずにそんな感じで良かったのであり、その上で毎回のエピソード内でのキャラクターの動かし方のテンポを良くしていき、子供にウケそうなギャグなども散りばめて、後はアクションやメカで魅せていくようにすれば良かったのだ。

ところが本作においては突発的要因などもあって視聴率が低迷するようになり、ストーリー面でも敵組織とターボレンジャーとの因縁関係を強化して正義の側も悪の側も内面描写を深めるようにしていくことになった。とりあえず本作においては既に低年齢層向けに出来るような工夫はやり尽くしていたわけで、そこで視聴率の低下が起きたわけなので、そこで出来るテコ入れの方法論としては、フラッシュマンからライブマンのドラマチックシリーズでの高年齢層向けのストーリー深化の手法しか残っていなかったのだ。

そういう理由で新たに登場することになった敵が「流れ暴魔」だった。いや、「流れ暴魔」という、暴魔族と人間の混血というキャラクターを劇中に登場させることは元から決まっていたことではあったようだが、それを暴魔百族に対抗する第三勢力として大きくクローズアップさせ、印象的な存在として物語後半の主要な敵とするようになったのは、視聴率低下による大きな路線変更であったのであろう。


流れ暴魔(左:ヤミマル 右:キリカ)

流れ暴魔はヤミマルとキリカの二人なのであるが、ヤミマルは混血児として人間からも暴魔からも差別されてきた悲哀から、人間も暴魔も滅ぼして流れ暴魔だけの世界を作ろうという野心を抱くようになり、武蔵野学園に転校してきてターボレンジャーの面々と絡むことになり、特にレッドターボこと炎力をライバル視するようになる。

このヤミマルがキリカの覚醒をきっかけにして後半になってパワーアップして、ターボレンジャーと暴魔と三つ巴の戦いを繰り広げて、遂には暴魔城を支配するに至るのだが、このような濃厚な敵キャラクターというものは、この作品の当初の方向性においては想定されているものではなかったはずで、途中からの方針転換の産物であったと思われる。そしてその方針転換は視聴率の上昇という結果には結びつかなかったが、後に「流れ暴魔」の二人のキャラクター共々、高い評価を得ることになる。


左:ターボビルダー(ロボ形態) 右:スーパーターボロボ
ターボビルダー内にスーパーターボロボが収納されてスーパーターボビルダーという戦闘形態になる


作品のヒロイン
ピンクターボ(森川はるな)がターボレンジャーの紅一点であり、ゴーグルピンク系統の優しく明るく賢く可愛い典型的ピンクキャラの「戦隊のお姉さん」型ヒロインであり、美人でスポーツ万能で学校一の秀才で、気が優しくて芯が強い、全く非の打ちどころがない完璧な学園のマドンナであり、本作のヒロインとして十分な魅力はあった。


ピンクターボ/森川はるな

しかし、それはあくまで「戦隊のお姉さん」の範囲を超えるものではなく、後半に登場して「女性メインキャラ」となった流れ暴魔キリカ(月影小夜子)があまりにもインパクトがあったために、すっかりキリカに食われて霞んでしまった。

まぁこれは森川はるなに罪があるわけではなく、もともとは本作は割とシンプルなストーリーが予定されており、その中で無難に「戦隊のお姉さん」をしていれば良いというのが森川はるなのキャラクター設定であり、森川はるなは見事にその予定通りのヒロイン像を歩んでいたのである。しかし急な路線変更で、当初は予定になかった流れ暴魔編が始まり、キリカという異様に濃いキャラクターが登場してきてしまい、はるなのキャラをそれに合わせて急激に変えることも出来なかったので、キリカばかり目立つことになってしまったのだった。

こうして、本作の当初の方針ではそういう狙いではなかったのであろうが、結果的には流れ暴魔キリカこと月影小夜子こそが本作の真のヒロインということになったと言っていいだろう。


月影小夜子

キリカこと小夜子はもともと3年A組のターボレンジャー達のクラスメートで、ヤミマルのように幼い頃から流れ暴魔としての自覚を持っていたわけではなく、ずっと自分が普通の人間であると思って普通の生活を送って生きてきた。それがヤミマルと出会ったことをきっかけに18歳の誕生日に流れ暴魔として覚醒し、ヤミマルと共にターボレンジャーや暴魔百族と戦うことになる。しかし物語終盤に改心して、更にはヤミマルも改心させ、ヤミマルと共に人間として生きていくことを決意するという、全く波乱に満ちたキャラクターなのである。


流れ暴魔キリカ/月影小夜子

そういうわけで、流れ暴魔キリカはシリーズ歴代の敵組織の悪のヒロインの中で現在でも屈指の人気を誇るのである。


作品の評価
本作品の「高校生戦隊」や「妖精や魔族の登場」という新機軸はシリーズにおける後の作品に大いに影響を与えた。また、この2つの新機軸は本作において上手く相互補完的な関係にあり、矛盾なく共存し得ていた。しかし、本作においてこの2つの新機軸がいまひとつ中途半端な印象となってしまったのは、これらの要素がこの作品のモチーフとなっていた「車」とあまり上手く噛み合わなかったからだった。

これはちょうどマスクマンの時とあべこべのちぐはぐさで、マスクマンの時は敵が地底人という割とリアルな相手であるのにヒーロー側は何故か気功というファンタジックな手段を使って戦うというちぐはぐさがあったのだが、本作においては敵が魔族というファンタジックな相手であるのに、ヒーローの側が何故か市販車の形をしたメカや、それが合体した超合金のロボットという極めてリアルな手段で戦うというちぐはぐさがあったのだった。



しかしこれらのちぐはぐさは過渡期におけるもので、いずれ解消されるまであと少しのところまで来ていたと言えるだろう。ゴーグルファイブで生まれたフォーマットの上にストーリーを重厚にするなどドラマチックな要素を積み上げてきた第二期の試行錯誤は前作ライブマンで頂点に達し、本作からは来るべき「ファタジー路線」という新たなフォーマット構築に向けての動きが表面化し始め、それゆえ上記のような新機軸が生じていたのだった。本来はこのまま少々の試行錯誤を経て「ファンタジー路線」を確立し、第三期に移行していく流れであったのであろう。それゆえの作品タイトルの「~マン」から「~レンジャー」への変更であったのだろう。しかし、思わぬ視聴率低迷によって、一旦その流れが頓挫することになったのだった。

まず、この作品の上記の新機軸、車というモチーフ、そして当初のシンプルな感じのストーリーというのは全て低年齢層をターゲットにしたものであったのだが、本作に先行する3年間、フラッシュマンからマスクマン、ライブマンという割と高年齢層に人気の高かった作品が続いていたため、低年齢層のうちでこのシリーズを視聴する習慣を持つ子供が相対的に減っていたという事情もあり、スタート時からいささか低視聴率を余儀なくされていた。

しかし新たなフォーマット構築のためには低年齢層をターゲットにした戦略自体は間違っていないのだから、スタートが苦戦してもそこから地道に積み上げていくしかないわけで、当面はブレずに暴魔と高校生戦隊の割とライトな感覚の戦いのストーリーを展開していったのだった。



しかし、前年8月から断続的に東京や埼玉で幼女が誘拐殺害され猟奇的なビデオ映像などが遺族に送りつけられるなどによって世間を震撼させていた一連の事件の犯人である宮崎勤が7/23に逮捕されるに及んで、彼がいわゆる特撮やアニメの「おたく」であるとセンセーショナルに報道され、事件の動機や彼の異常性に結び付けて論じられたりするようになり、特撮番組やアニメ番組への魔女狩り的な批判が生じるようになった。

こうした風潮を受けて、もともと子供たちがテレビに噛り付いている姿を快く思っていなかった低年齢層の児童の親達は、ここぞとばかりに子供たちに特撮番組やアニメ番組を見せることを禁止するようになり、更にはテレビ局に対して子供のテレビを見る時間帯に特撮番組などを放送しないように要望まですることとなった。

これにより、物語も折り返しに差し掛かろうとしていたターボレンジャーも、もともと低年齢層にターゲットを絞っていただけに、急激な視聴率低迷と社会からのバッシングを受けて窮地に陥るようになった。そこで打開策として高年齢層へもアピールするためにストーリーを変更し、流れ暴魔の扱いを大きくして、後半は暴魔百族は後退させて、ターボレンジャーとの因縁が濃い流れ暴魔を悪の主役にして、実質的に後半を「流れ暴魔編」とすることにしたのだった。



しかし、その頃には世間のバッシングの激しさによって放送枠の変更は避けられない事態となっており、「流れ暴魔編」に突入した9/30の次の週、10/6の第32回放送分からターボレンジャーはそれまでの土曜日18:00開始枠から金曜日17:30開始枠への移動を余儀なくされたのだった。



この新しい放送枠の時間帯は低年齢層にとっては家でテレビを見ることは可能であったが、高年齢層にとっては平日のこの時間帯はテレビ視聴が困難な者も多い時間帯であった。それだけでも高年齢層をターゲットにした内容変更を行ったターボレンジャーにとっては不利であったのだが、更にフジテレビ系の同じ金曜日17:30開始枠に、ゴールデンタイム枠から人気アニメ「らんま1/2」の続編が「熱闘編」としてリニューアルされてが10/20に移動してきたことにより、このより低年齢層に人気の高い裏番組との戦いでターボレンジャーは苦戦を強いられることになったのであった。

後半の「流れ暴魔編」はなかなか秀逸な出来となり、後に高い評価を得ることになるのだが、結局この時は視聴率上昇に転じることは出来ず、放送枠変更の悪影響を払拭出来ず、苦戦のままターボレンジャーは最終回を迎えることになった。作品自体は当初目指した「明るい青春ストーリー」というコンセプトは貫徹し、加えて数々の新機軸に挑戦し、更に「流れ暴魔編」という予定外の収穫もあり、なかなかの出来であったと思われるが、いかんせん放送枠の変更と裏番組の強さが痛すぎた。これによって当面の課題はこの新しい放送枠でシリーズを存続させるために、まずは視聴率面での実績をあげることとなり、本作で試みられた「ファンタジー路線」という新機軸へのリスクの高いチャレンジは一旦、横に置いておくことになったのであった。
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未分類 | 23:57:39 | Trackback(0) | Comments(3)
コメント
こんにちは
当時の社会情勢などを思い出しながら読みました。
リアル放送時から車・高校生・妖精の3要素がチグハグな印象を持ってました。
個人的に妖精は83年放送の「聖戦士ダンバイン」をヒントにしたと思います。ガンダムで有名な富野由悠季が打ち出した異世界ファンタジー物の先駆けです。
ファンタジー路線はシリーズに広がりを持たせた一方、科学万能に対するアンチテーゼを反映したものだったと思います。
学生の理系離れもこの頃から始まった気がします。でわ。
2008-04-20 日 18:21:53 | URL | 珍来 [編集]
旅行業務取扱主任者
旅行業務取扱主任者とは、国土交通省管轄の国家資格 http://wildbelly.wglorenzetti.com/
2008-10-26 日 10:22:32 | URL | [編集]
adeline
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2009-03-23 月 20:02:17 | URL | adeline [編集]
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